2020/11/01
「社会保険労務士個人情報保護事務所」認証
業界団体の社労士全国会が認証しているものです。個人情報をしっかりと保護しています。
社会保険・労働保険
手続きの電子申請に対応しています。
行政からの通知書も電子公文書(PDF)で交付されます。
2024/11/19
「社長のブレイン」ぺージを刷新しました。
「労務顧問」サービスの1つとして経営者の皆様に寄り添います。
こちらをクリックしてください。
2024/11/01
「就業規則のチェックポイント」を追加しました。
こちらをクリックしてください。
「就業規則のもう一度見直したいところ」を変更しました。
こちらをクリックしてください。
2024/10/16
人事労務の Q&A13-1
通勤経路が2以上ある場合の経路の選択について追加しました。
こちらをクリックしてください。
2024/06/04
セミナーのページをリニューアルしました。
「分かりやすい」「実務に役立つ」「知識も得られる」
を意識しています。ぜひ、ご活用ください!
こちらをクリックしてください。
TOPICS
※ 詳細はこちらをクリックしてください。
各省庁等のサイトへにリンクをはっております。
2024/10/01
従業員数51人以上の企業に社会保険適用が拡大される。
2024/09/05
「東京都の最低賃金」が発表される。
2024/06/10
「育児・介護休業法、次世代法の改正ポイント」が公表される。
2024/04/18
「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」が公表
2024/04/16
「働くパパママ育業応援奨励金」(東京都)が発表される。
2024/04/15
「令和6年度 雇用・労働分野の助成金のご案内」が発表される。
2024/04/01
「令和6年 地方労働行政運営方針」が策定、発表される。
2024/03/21
厚生労働省「ハラスメント対策研修動画」が追加される。
2024/03/11
厚生労働省「令和6年度 雇用保険料率」は令和5年と同率
2024/03/08
協会けんぽ「令和6年度 保険料額表」が公開される。
【11 各種ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ)への対応】 |
|
Q11-1 | 2022年4月から中小企業にもパワハラ防止が義務付けられますが、具体的にはどのような対策をすれば良いでしょうか? |
【12 60歳以上の雇用】 |
|
Q12-1 | 60歳で定年となった従業員の雇用はどうすればよいでしょうか。 |
【13 手当など給与関連】 |
|
Q13-1 | 2つ以上の通勤ルートのある従業員の交通費はどのように支給すればよいでしょうか? |
当社は、繁華街に構えた複数の店舗で、持ち帰り(食べ歩き)用のソフトクリーム等を販売しています。各店舗では学生アルバイトが中心になって働いています。
同じ大学の友人やサークル仲間が一緒にアルバイトをする事も多く、皆、楽しみながら仕事をしており、サークル活動にも似た雰囲気になっています。
多くの学生アルバイトは週に2~3回の勤務、1回の勤務は4~5時間程度と、労働時間は長くありません。また、就職活動が始まるまでのアルバイト活動なので、長くても3年程度という事もあるので、年次有給休暇を付与していません。しかし、大学で労働法のセミナーを受講したアルバイトの1人が「学生アルバイトでも年次有給休暇があるそうです。」と報告してきました。やはり付与する必要はあるのでしょうか。
アルバイト学生やパートタイマーなどの短時間労働者であっても、年次有給休暇を付与する義務があります。
年次有給休暇は労働基準法に定められており、同法で対象となるのは「労働者」です。
同法第9条(定義)では、労働者について次のように定義されています。
『「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。』
つまり、給料を支払っているのであれば、週1日だけ勤務するパートタイマーやアルバイトにも年次有給休暇を付与する必要があるという事です。
ただし、年次有給休暇が付与されるのは、1年間に48日以上の出勤日数がある人です。
また、就業日数が少ないパートタイマー・アルバイトには週5日、40時間の勤務をする正社員よりも少ない日数の有休が付与されます。
これを「年次有給休暇の比例付与」と呼びます。(労働基準法 施行規則第24条の3)
比例付与の日数は次のようになっています。
週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数
週所定 労働日数 |
1年間の 所定労働日数※ |
継続勤務年数(年) | |||||||
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 | |||
付与日数 (日) |
4日 | 169日~216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 121日~168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 | |
2日 | 73日~120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 | |
1日 | 48日~72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
※週以外の期間によって労働日数が定められている場合
当社は酒類のルート配送を行っています。トラックに酒類やジュースなどの飲料ケースを積み込み、決められた飲食店に届けるのですが、ケースはかなり重く、トラックの運転では安全運転が必須です。
当社では社員が60歳に到達した月の末日を定年退職日としています。その時点で退職金も支払っています。その後、本人の希望があれば1年ごとの雇用契約を結んで最長で65歳まで働いています。
定年後の仕事は、体に負担の大きい配送ではなく、倉庫での整理業務や事務作業などを中心に担当させています。また、就労日数も週に2~4日程度となります。
前述のように60歳の定年時に退職金も支払った上で再雇用としているので、勤続年数についても一旦、0としています。そのため、年次有給休暇での勤続年数も0年に戻るのですが、問題があるでしょうか?
問題があります。定年前後の勤続期間は通算する必要があります。
多くの企業では60歳定年後に、雇用条件を変更して再雇用する制度を取り入れています。
ご質問のように退職金を支払ったり、社会保険の被保険者資格を喪失することもあり、「いったん、退職」という印象が強くなります。
しかし、一般的には定年と再雇用の間には1日の空白もないか、空白期間があるとしても、ごく短期間でしょうから、勤務に継続性があると判断できます。
勤務に継続性があるならば、勤続期間は通算されることになります。
ところで、有休の付与日数は、勤続年数が6ヶ月で10日、6年6ヶ月で20日です。
そのため、定年後の再雇用において、従来の勤続年数が通算されるか否かによって、付与される日数が大きく変わってしまいますので、ご本人にとっては大きな問題でしょう。
当社は企業や地方自治体向けのイベント企画・運営、販促商品の企画・製造委託・販売を主に行っています。当社では社員の他に、契約社員・パートタイマー・アルバイトなどの複数の雇用形態があります。現在、会社が拡大しているため、人材を確保することが優先されています。多様な雇用形態は、採用の間口を広げ、同時に求職者にとっては応募する際の心理的ハードルを下げる意味もあります。ただし、入社後はプロジェクトの責任者として業務を担当する正社員に雇用形態を転換してもらいたいと思っています。実際に毎年10名以上が、正社員に雇用形態を変更しています。
そして、正社員に転換する際はモチベーションを向上させるために改めて入社式を行っています。
この時点で雇用契約書も正社員として書き換えますので、勤続年数も0からカウントしています。以前から、この取り扱いが正しいか疑問があるのですが、いかがでしょうか?
現在の運用は誤っています。雇用形態が変更となる前後の勤続期間は通算してください。
前述のご質問は、定年退職する正社員が短時間労働者になるケースでしたが、こちらは逆に、契約社員やパートタイマー、アルバイトといういわゆる非正規労働者が正社員(正規労働者)に転換するものです。
特にアルバイトやパートタイマーとしての契約期間や勤続期間が短い(6ヶ月以下)場合は、その期間を試用期間のように位置付けて、正社員になったところから勤続年数をカウントする、という運用をしている会社も散見されます。
年次有給休暇の付与は、「労働者」に対してなされます。
雇用形態が異なる契約社員、パートタイマー・アルバイトは、全て「労働者」なので雇用形態が正社員に変更となっても勤続年数は通算されます。
また、その逆に正社員からパートタイマー・アルバイトに転換した場合でも勤続年数は通算されます。
当社では毎年1月1日に従業員に対して年次有給休暇を付与しています。
しかし、従業員の中には、年度末である3月31日に当社を退職して他社に転職するという従業員が毎年、2~3名はいます。
当社では退職をする場合は、少なくとも3ヶ月前には会社に申し出ることになっており、3月31日に退職を希望する従業員は12月31日までに退職願を会社に提出しています。
つまり、退職する事を知ってからすぐに年次有給休暇を付与することになります。
いつも「退職する間近の従業員に年次有給休暇を付与する必要があるのだろうか」と感じています。全日数を付与する必要があるのでしょうか?あるいは、全日数とまではいかずとも「比例付与」のような制度はないのでしょうか?
結論から申し上げれば、全日数の年次有給休暇を付与する必要があります。
また、残りの在職期間に応じて比例付与する事などは認められていません。
ご質問のようなケースは多くの会社であります。
特に円満退社といえない場合に、このような思いが強い傾向があります。
このケースでは、本来は1月1日に付与された年次有給休暇は同年の12月31日までに取得すれば良いのですが、3月31日に退職するのであれば、3ヶ月間で全ての年次有給休暇を請求することもできます。
たしかに会社として年次有給休暇の「時季変更権」はありますが、実務上、時季変更権を行使することは難しいので、実際には従業員から請求のあった年次有給休暇全て認めざるを得ません。
そうなると引き継ぎが心配になりますが、引き継ぎに支障が出ないよう、適正な日数のみ年次有給休暇を取得するように、直属上司や同僚と話し合って調整をする必要があるでしょう。
とは言っても、年次有給休暇は労働者の権利ですから、引き継ぎを確実に行う事を優先した結果、取得できなかった年次有給休暇が生じた場合は特例として買い上げる、などの措置を行った方が、トラブルにつがならないと考えます。
☆☆☆☆ もう少し詳しく説明 ☆☆☆☆
【年次有給休暇の基本的な考え方】
労働基準法 第39条(年次有給休暇)第5項
「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」
これを「時季変更権」と呼びます。
ポイント1
条文にある「事業の正常な運営を妨げる場合」は、会社にとって厳しく考えられています。つまり、基本的には時季変更権の行使は難しいことになります。
ポイント2
時季変更権が認められても、「他の時季に与える」と定められているので、「有休を取るな」という事はできず、あくまでも「時季の変更」になります。
ある従業員が退職するので、後任者に引き継ぎをしないと業務に支障が出る、という事は「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たると考えられます。
この事情だけを考えると時季変更権は行使できそうです。(しかし…後述する学説をご参照ください。)
なお、引き継ぎをしないでも問題が無い場合は、当然ながら「事業の正常な運営を妨げる場合」には当たりません。
(ただし、会社の人員計画に齟齬が生じたり、他の従業員に何らかの負担がかかることを考えると、これも「正常な運営を妨げる場合」となりそうです。)
【退職日が近い期間での年次有給休暇の請求】
通説では次のようになります。
「時季変更権の行使には『他の時季にこれ(年休)を与える』可能性の存在が前提となる。そこで、労働者が退職時に未消化年休を一括時季指定する場合には、
その可能性がないので時季変更権を行使しえないこととなる。」(菅野和夫 労働法第12版 P.566 水町勇一郎 詳解労働法P.732も同意)
つまり、退職日が迫る労働者が、残っている年休をまとめて請求しても会社はこれを受けざるを得ない、ということになります。
【会社としてどう対応するか】
まずは、前述の通り、計画的に年次有給休暇を取得してもらう環境を整えることが第一でしょう。
それでも、このような事態が発生した場合は次のような対応が考えられます。
□年休の残日数を考慮に入れて退職日を延ばす。
□年休を取得できない替わりに買い上げる。(年休相当額の手当を支給する。)
なお、年休の買い上げは原則として禁止されています。本来、年休はきちんと取得して「休む」ためのものだからです。
(例えば、従業員が年休を申請した際に、強硬な上司が「うちは年休の買い上げ制度があるんだから、休むな」と言い出すおそれがあります。)
しかし、法定を上回る日数、時効や退職で消滅する年休を買い取る事は違法とはされていません。
「年休の買上げを予約し予約された日数について年休取得を認めないことは、年休の保障(労基39条)に反するが、結果的に未消化の年休日数に応じて手当を支給することは違法でない。」(菅野和夫 労働法 第12版 P.575)
一方、これを問題視する学説もご紹介しておきます。
「年休が時効や退職等によって消滅した場合に、その日数に応じて金銭を支払ういわゆる「事後の買上げ」については、年休の取得を制約するわけではないので労基法39条に違反しないとする見解が一般的であるが、このような取り扱いが容認されると、事後的に金銭の支払いを受けることを期待して労働者が現実の年休取得を控える行動に出ることが考えられ、年休制度の趣旨に反する事態を招きかねない。したがって、事前・事後を問わず、未消化年休に対して使用者が金銭を支払うことは、原則として労基法39条に違反し無効と解すべきである。」(水町勇一郎 詳解労働法 P.747)
私は「事後の買上げ」を明確なルールとしなければ、「事後の買上げ」を期待することもないため問題はないと考えます。つまり、菅野説をとります。
当社の勤務時間は、午前8時30分から午後5時30分であり、昼休みは12時から午後1時までです。
つまり、昼休みをはさんで、午前勤務は3時間30分、午後勤務は4時間30分の合計8時間となります。
今般、当社では「半日有休」の導入を検討しています。給与は、午前・午後のいずれかに有休を取得しても、4時間分を支給する予定です。
この取り扱いに問題があるでしょうか?
ご質問の運用をまとめると次のようになります。
【午前出勤(午後休み】 3.5時間の勤務(4時間分の給与)
【午後出勤(午前休み】 4.5時間の勤務(4時間分の給与)
これには、2つの問題が発生します。
1 午後出勤(午前休み)の場合、4.5時間を働いているのに、給与が4時間分しか支払われません。
これは、労働基準法の「賃金支払の5原則」のうち、給与全額払いの原則に抵触します。
2 午前と午後で勤務時間に差が出るので、社員に不公平感が出ます。
(または、皆が午前出勤(午後休み)を選択しかねない。)
解決策としては次の様なものが考えられます。
1 午前出勤(午後休み)は8:30-12:30 の4時間勤務にする。
午後出勤(午前休み)は13:30-17:30 の4時間勤務にする。
但し、この場合、午前出勤の人は昼休みの時間帯に働くことが、問題ではあります。
2 午前出勤(午後休み)は8:30-12:00の3.5時間勤務
午後出勤(午前休み)も14:00-17:30の3.5時間勤務
なお、この場合、給与は3.5時間分ではなく、4時間分とするのが望ましいでしょう。なぜなら、「半日有休」の制度は、給与も半日分が支給されると、解釈される可能性があるからです。
3 午前3.5時間勤務 午後4.5時間勤務とするが、給与もそれぞれ、3.5時間と4.5時間分とする。
この場合、正しくは「半休」にはなりません。
また、有休の残日数管理も面倒になりますので、半日有休」よりも時間単位の有給休暇とする方が、運用もしやすいのではないかと考えます。
パートタイマーの有給休暇は比例付与となりますが、付与した後に、1週間あたりの勤務日数が増減する、1日の勤務時間が増減する、という事もあるのですが、この時はどのように有給休暇を付与すれば良いでしょうか?
次のようなケースが考えられます。
ケース1
【パートが週1日勤務から週3日勤務になった時】
週1日勤務の場合、1日の有給休暇が付与されますが、この人が、週3日勤務になっても、その時点では有給休暇日数は増えません。
週3日勤務になってから到来した付与日において、その勤続期間に応じた有給休暇が付与されます。
(通達 昭和63.3.14 基発150による)
ケース2
【パートの労働時間が増えたとき】
例えば、1日4時間を働くパートが、有給休暇を取得した場合は、時給×4時間分の給与を支払う必要があります。
そして、この人が1日6時間働くようになった場合は、有給休暇の取得日における所定労働時間に応じた給与、つまり、時給×6時間分の給与を支払う必要があります。もちろん、これは労働時間が減った場合も同様です。
(通達 平成11基発168号による)
当社は社員のほか、パートタイマー(主に女性)とアルバイト(主に大学生)を雇用しています。
社員は1日8時間×週5日勤務で、1週間の労働時間は40時間です。
パートタイマーやアルバイトの多くは、1日は4~7時間、週2~4日の勤務なので年次有給休暇は比例付与としています。
しかし、中には1日8時間×週4日で、1週間に32時間勤務するパートタイマーがいます。本人は比例付与ではなく、通常の有給休暇日数をもらいたい、と言っているのですが、その必要はあるのでしょうか?
年次有給休暇の比例付与は、労働基準法 第39条(年次有給休暇) 第3項に、次のように定められています。その上で、具体的な日数は労働基準法施行規則第24条の3(所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与)に定められています。
『次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。)の有給休暇の日数については、比例付与とする。
・勤務日数が1週間に週4日以下の労働者
・勤務日数が1年間に216日以下の労働者』
ここでのポイントは括弧内の「1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。」という部分です。
この部分の「定める時間以上」は「30時間以上」となります。
この事は、前述の労働基準法施行規則第24条の3に定められています。
勤務が週30時間以上の労働者は年次有給休暇の比例付与の対象から除く、
つまり、通常の年次有給休暇を付与する、という事になります。
従って、ご質問にある週32時間勤務のパートタイマーについては、ご本人の申し出通り、通常の年次有給休暇を付与する必要があります。
当社では、年次有給休暇は1日単位の取得しか認めていません。しかし、半日単位の方が使い勝手が良いので認めてほしい、という従業員からの希望が多くあるため、来年度(4月)から就業規則を改定して、半日単位の有休を正式に制度にする予定です。ところで1時間単位の年次有給休暇は上限日数を5日までと定めていますが半日単位の有休にも上限日数はあるのでしょうか?あるとするならば、何日になるのでしょうか?
半日単位の年次有給休暇(以下「有休」)の取得に上限日数はありません。しかし、有休の原則はまるまる1日休むことです。
1日間、休まないと疲れが取れない、という考え方です。そのため、半日単位の有休については通達で「年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。」(昭和24年、63年)としています。
つまり「会社は半日単位で付与する義務はないけれど、付与してもいいよ。」というスタンスです。(半日単位の有休は労働基準法に定めは無く、この通達が根拠となります。)
一方、「時間単位の有休」は労働基準法39条に定めてありますが、上限を5日以内としています。
これらから、半日単位の有休はその取得に上限日数は無いが、会社としては、有休の本旨である「1日単位」での取得を奨めるとともに、上限日数を設ける場合は、「時間単位の有休」に準じて「5日以内」とするのが良いのではないかと考えます。
現在、産後休業期間中で、近々育児休業を取得する予定の従業員がいます。
当人が育児休業に入って2ヶ月程経過すると、年次有給休暇の付与日となるのですが、育児休業を取得している場合も、年次有給休暇を付与しなければいけないのでしょうか?
育児休業期間中でも年次有給休暇の付与日が到来したのであれば、勤続年数に基づいて、付与する必要があります。
ただし、次の理由で付与された有休を育児休業期間中は取得できません。
年次有給休暇は「労働日」に対して取得できるものです。
その上で、「労働が免除される」ということになります。
一方、育児休業は既に労働が免除されている状況です。
従って、年次有給休暇は取得できないことになります。
つまり、育児休業期間中の年次有給休暇については、「付与されるが取得できない」という事になります。
2019年4月から、従業員に年次有給休暇を5日付与する事が会社に義務付けられました。
当社では以前から一般社員は5日以上の年次有給休暇を取得していますが、管理職は多忙であることから、年次有給休暇を取得しない者も多数います。
やはり、管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか?
管理職も付与の対象になります。
2019年4月からの「働き方改革」による法改正の一つに、ご質問にある年次有給休暇(以下、年休)の5日付与義務があります。
中小企業でも猶予措置は無く、同月から適用となっています。
ここで年休の5日付与義務の対象となる労働者は、「1年間に10日以上の年休が付与される労働者」です。
従って、社員はもちろんパートタイマーでも比例付与によって10日以上の年休がある人は対象となります。
そのため、管理職であっても1年間に10日以上の年休を付与される人は、年休の5日付与義務の対象者です。
(短時間労働者かつ管理職という方でない限り、ほとんどの管理職が対象になるでしょう。)
なお、各部署ごとの取得率を算出していることは多いと思います。いわば「縦方向の年休取得率」の確認です。
それだけではなく、「部長」「課長」「マネージャー」「リーダー」など役職ごとに「横方向の年休取得率」を確認することもお奨めします。
「縦方向」と「横方向」のマトリックスを眺めていると、新たな発見があるかも知れません。
当社では、年次有給休暇は1日単位としているのですが、最近、当社に転職してきた者が、前職では半日単位の年次有給休暇があったが当社ではないのか、と質問してきました。半日単位の年次有給休暇は義務付けられているのでしょうか?
年次有給休暇は半日単位での付与は義務付けられていません。
労働基準法では、1日単位での取得のみ規定しています。
(同法 第39条 年次有給休暇)
労働基準法では「休日」を1日単位と考えています。
「休日は1日休んでこそ休日である。」という考え方です。
また、半日単位の有休については、次の旨の通達があります。
『年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。』
なお、半日単位の有休を付与する場合は、就業規則にその旨を記載する事が望ましいです。
ちなみに時間単位有休は、労使協定の締結が必要となります。
つまり、時間単位有休の導入はよりハードルが高い、という事です。
私見ですが、時間単位有休はきちんと運用しないと、遅刻した場合に、時間単位有休を申請して事実上、遅刻と相殺するなど、職場秩序の乱れにつながりかねないので、あまりお奨めしておりません。
導入する場合は、「○日前までに申請する」などのルールを明確にしておくことが大切でしょう。
当社では年次有給休暇の取得を奨励していますが、全日数を取得することはできません。
結局、翌年に繰り越しても取得できず、時効によって消滅してしまいます。
消滅する年休を買い上げることはできないのでしょうか?
年休の買い上げは原則として禁止されています。本来、年休はきちんと取得して「休む」ためのものだからです。
(例えば、従業員が年休を申請した際に、強硬な上司が「うちは年休の買い上げ制度があるんだから、休むな」と言い出すおそれがあります。)
しかし、法定を上回る日数、時効や退職で消滅する年休を買い取る事は違法とはされていません。
通説では次のように説明されています。
「年休の買上げを予約し予約された日数について年休取得を認めないことは、年休の保障(労基39条)に反するが、結果的に未消化の年休日数に応じて手当を支給することは違法でない。」(菅野和夫 労働法 第12版 P.575)
一方、これを問題視する学説もあります。
「年休が時効や退職等によって消滅した場合に、その日数に応じて金銭を支払ういわゆる「事後の買上げ」については、年休の取得を制約するわけではないので労基法39条に違反しないとする見解が一般的であるが、このような取り扱いが容認されると、事後的に金銭の支払いを受けることを期待して労働者が現実の年休取得を控える行動に出ることが考えられ、年休制度の趣旨に反する事態を招きかねない。
したがって、事前・事後を問わず、未消化年休に対して使用者が金銭を支払うことは、原則として労基法39条に違反し無効と解すべきである。」(水町勇一郎 詳解労働法 P.747)
これを別の角度でとらえると、年休の買い上げを有効とするには、会社として年休の買上げは原則禁止(=容認しない)として、買い上げの期待をさせないという事でしょう。
また、「期待をさせない」という観点から、通常の賃金での買い上げではなく、一律○千円、などの通常の賃金より低額での買い上げとする方法も考えられます。
実務においては「消滅する年休は買い上げができる」という理解で終わらず、「その前提として年休が取得しやすい就業環境をつくること」をより強く意識すべきでしょう。(その企業努力の上で初めて年休の買い上げが可能となる。)
なお、失効する年次有給休暇を介護や不妊治療などの特定の用途での利用に限定して繰り越す方法もあります。
当社の従業員で、定期健康診断の受診を指示しても、「健康診断の結果はプライバシーに属することだから受けたくない」と主張して、受診しない者がいます。会社としてどう対応すれば良いでしょうか?
労働者が健康診断を受診することは法的な義務です。
健康診断は労働安全衛生法第66条(健康診断)において、事業者には行う義務が、労働者には受ける義務がある事を定めています。
労働者が健康診断を受けない場合は同条違反となります。
また、事業者には健康診断の結果を5年間、保存する義務もあります。
ただし、労働者は会社が行う健康診断を受けなくても自分自身で他の医師の健康診断を受けて、その結果を会社に提出することで替えることができます。
なお、同条には罰則もあります。
罰則は会社に対してはありますが、労働者に対してはありません。
(ちなみに50万円以下の罰金です。)
ご質問にある従業員に対しては、まずは法的な義務があることを伝え、受診を促したらいかがでしょうか?
また会社が指定する医療機以外で受診したい正当な理由があるなら、その医療機関での健康診断の結果を提出しても良い事を伝えたらいかがでしょうか。
当社の社員が健康診断を受診後に退職することを申し出てきました。
医療機関から健康診断結果が当社に送られてくるのは本人が退職した後ですが、本人に健康診断の結果を伝えた方が良いのでしょうか?
健康診断の結果は、ご本人にお送りください。
労働安全衛生法での義務と考えられます。
また、本人が転職先の会社に入社する際に提出する可能性もあります。
まず、労働安全衛生法 第66条の6(健康診断の結果の通知)では、事業者は労働者に対して、健康診断の結果を通知しなければならない、と定めています。
健康診断の結果は、会社が労務管理に必要であるほか、本人が健康管理に役立てることもできますので、安衛法での「労働者」には「退職後の労働者」も含まれると考えます。
また、労働安全衛生規則 第43条(雇入時の健康診断)では、次のように定めています。
「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。」
これより、労働者が転職先の会社に提出することも考えられます。
当社の従業員が多忙を理由に健康診断を受診しません。本人は健康診断の必要性は理解しているようですが、外出を言い訳に受診をしません。
特に持論があるという事ではなく、単に受診するのが面倒なようです。会社が注意すると、「すみません、受けるようにします。」と殊勝な
態度を示す割にはここ数年、受診していません。会社からではなく、ご家族(特に奥様)から言ってもらう事は問題ないでしょうか?
法的には問題ありません。もちろん、従業員の家族が協力するか否かもご本人の自由意思ですので強制はできません。
ご家族のうち、配偶者から言ってもらうのが効果的ではないでしょうか。
その際、本人には「奥さんに協力してもらうため連絡する。」と先に伝えると、この時点で健康診断を受診する可能性も高いです。
本人が配偶者への連絡に難色を示すのであれば「会社として従業員の安全配慮義務がある。君としては家族への責任がある。」と説明するのはいかがでしょうか。
また、健康診断を受けた場合にその結果を本人のみならず、家族(特に配偶者)に見てもらう事も有効です。
方法としては、従業員が家族(特に配偶者)に健康診断の結果を見せて、サインやコメントをもらい、会社に提出する方法があります。
例えば「健康診断結果を確認しました。」という不動文字(印刷)の下に配偶者にサインしてもらい、さらにコメント欄を設けて、
「再検査をさせるようにします」「食生活に注意させます」などと書いてもらう事で、家族ぐるみの健康管理に多少は期待が持てます。
毎年、健康診断を受けてはいるものの結果通知を開封もせず、自身の健康状態の悪化に気付かないまま、業務の多忙が原因で過労死したという裁判例があります。判決では会社に責任があるとされましたが、ご本人の健康管理にも問題があるということで、会社からの金銭補償のうち5割が過失相殺されました。健康診断の結果を確認していれば、また、家族にそれを伝えていれば、異なる結果になっていたかも知れません。
診断結果が悪ければ、再検査を受けたり、生活環境の改善を図るなどの行動につなげるべきですし、自分ではなかなか行わなくても、ご家族(配偶者)が気を付けてくれる事もあるでしょう。
本来、健康管理は自己保健義務もあり自己責任ですが、本人の意識が高くない場合は家族の協力を得る事という選択肢もあると考えます。
貴社の、労務関連のコンプライアンスチェックをお引き受けしています。
厚生労働省が公表する「地方労働行政運営方針」でも「治療と仕事の両立支援」の必要性が挙げられていますが、あまりイメージが出来ません。具体的にはどのようなことをすればよいのでしょうか?
例えば、次のような施策が考えられます。
「における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000912019.pdf
「企業・医療機関連携マニュアル」
当社は、デザイン業務をメインとする会社のため、社員の創造性を尊重しています。労働基準法などをベースにした就業規則は「古い」「固い」というイメージがあります。最近、社員が10名を超えたのですが、やはり就業規則を作らなければいけませんか?
法的な義務があることはもちろんですが、自由でクリエイティブな雰囲気な会社でも、一定の規律と、企業人としての責任は求められるものと考えます。
自由があれば責任もあります。
必要最小限のルール(就業規則)は定め、柔軟に運用する事をお奨めします。
当社は、約20名の正社員を中心に仕事をしています。以前より2~3名のパートタイマー(及び一時的な学生アルバイト)もいるのですが、この度、仕事の見直しにより、業務を細分化して定型業務を担当するためのパートタイマーを5~6名追加で雇用することになりました。(一方、正社員にはより創造的な業務や新規業務の獲得に時間を割いてもらう予定です。)
そのため、パートタイマー向けの就業規則を作成するのですが、意見聴取をするのはパートタイマーとなるのでしょうか?
一般的に、正社員とパートタイマーとでは、賞与・退職金・特別休暇・休職・慶弔などの取り扱いに差を設けることが多く見られます。
この場合、就業規則はそれぞれの雇用形態によって異なるものにする必要があります。
さて、就業規則を作成した際は「労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」(労働基準法第90条)とされています。
ここでの「労働者」は全労働者の過半数を代表する者となりますので、それが正社員であればパートタイマーの就業規則であっても正社員の意見を聴けばよいことになります。
一方、パート有期法第7条では次のように努力義務を定めています。
短時間労働者に係る就業規則を作成したときは、「当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。」
実務においては、正社員とともにパートタイマーの代表者にも意見を聴くことが望ましいと考えます。
なお、正社員とパートタイマーの職務内容が同一である場合は「同一労働同一賃金」の考え方によって賃金を始めとした労働条件を同一にする必要があるのでご注意ください。ただし、職務内容(仕事の責任や負担、異動の有無)などに差異がある場合はその差異に応じた労働条件の違いは許容されます。
当社は企業向けホームページの作成と運用のコンサルティングを行っている会社です。代表者である私が学生時代の友人に呼びかけて、3年前に2名の役員でスタートしました。特定業界に特化して提案力を高めてきたこともあり、社員とアルバイトを含めて7名を雇用する規模になりました。従業員は厳格な時間管理などルールの束縛を好まない人が多く、良く言えば「自由な職場」悪く言えば「規律のない職場」です。
このような状況下、市場により良いサービスを提供するために会社規模の拡大を考えています。そのため、自由は認めつつも規律のある職場にするべく就業規則を作成しました。しかし、就業規則を公開すると「管理色」が強まることを従業員が嫌気して、モチベーションが下がることを心配しています。そこで、就業規則は問題が起こりそうな時や起こった時に、必要に応じて該当部分を開示しようと考えています。
つまり、就業規則を作成はするが周知しない、という取り扱いになります。この進め方は問題ないでしょうか?
常時10人以上の労働者を雇用している会社は就業規則の作成及び届け出が義務付けられています。(労働基準法 第89条)
そして、この就業規則を社内に周知する義務が労働基準法に次のように定められています。(労働基準法 第106条)
『 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則(中略)を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること(
中略)によって、労働者に周知させなければならない。』
さて、労働者が10人未満の会社では就業規則の作成義務はありませんが、働きやすくトラブルの無い職場とするためや、貴社のようにある程度の規律を求めるためには、作成する事が望ましいでしょう。
この場合、労働基準監督署に届け出ることは任意となります。それでは、106条にある社内への周知は義務となるでしょうか?
異なる見解があります。まず「周知は義務である」という見解です。
『この義務は、法令の周知義務と並ぶもので、常時10人未満の労働者を使用する(就業規則の作成・届出義務を課されていない)使用者にも及ぶ。』( 労働法 第12版 菅野和夫 P.201)
続いて、「周知は義務ではなく、任意である」という見解です。
『作成した就業規則を労働者に周知すること自体は望ましいことではあるが、同条(田中注106条)が罰則付きの規定であることを考えると、任意に就業規則を作成したために罰則が科されることになる解釈は妥当でなく、常用労働者10人未満の使用者の作成した就業規則には同条の適用はないと解すべきである。』(詳解労働法 第2版 水町勇一郎 P.175)
ここでは、罰則の事を考慮して、後者の「従業員への周知は任意」という見解を支持します。
これらを踏まえて、労働者10人未満の会社は、実務上は次のようにされるのが良いのではないでしょうか。
【 就業規則の作成 】
任意ですが、前述の通り就業規則は作成することが望ましいです。
【 労働基準監督署への届け出 】
任意ですが、労働基準監督署へは現時点では届け出る必要はないでしょう。届け出ない方が、社内で柔軟に就業規則の変更が可能です。
【 社内への周知 】
作成した以上は周知すべきと考えます。(周知していなくても106条は適用されないと考える方が妥当でしょう。)
【 労働基準監督署の調査があった場合 】
労働者10人未満の会社が、あえて就業規則を作成するという事は、相応の必要性があってのことでしょう。
そのような状況であるならば当然に社内へ周知することも必要となるでしょう。
「周知しない」という106条に抵触する事実がないのであれば、「周知義務」「周知任意」のいずれの見解であっても、当然、106条によって罰則が科されることはありません。
仮に、就業規則を作成したが周知していない労働者10人未満の会社に労働基準監督署の調査(臨検:労基法101条)があった場合、周知していないことに是正勧告は出されないと考えます。(指導票による指導の対象にはなるかも知れません。)
当社は従業員が約15人、社歴は約50年の会社です。私は経理が専門ですが、総務業務も兼務しています。
数日前に労働基準監督署から調査をするという連絡があり、就業規則も準備するように言われました。普段、就業規則など意識したことが無かったのですが、社長に伝えると古い書類が雑然と詰め込まれているキャビネットの中から就業規則を取り出してきました。
表紙には昭和52年の受理印があります。当然、内容も古いのですが、気になるのは次の手当に関する規定です。
『 第10条(住宅手当)住宅手当は世帯主である男性従業員に5,000円を支給する。』
堂々と「男性従業員」だけを対象としています。今では、住宅手当は支払われていないのですが
この部分が違法と労働基準監督署に指摘されないでしょうか?
大いに問題のある条文ですが、現在、住宅手当は支払われていないということであれば、違法ではありません。
但し、この定めの通り運用されていて実際に男性従業員にのみ住宅手当が支給されている場合は、労働基準法に違反します。
労働基準法では第4条(男女同一賃金の原則)が該当します。
「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」
そして、次の通達があります。
『本条の違反が成立するのは、現実に差別的取扱いをした場合であって、単に就業規則において差別的取扱いをする趣旨の規定を設けただけでは、その規定が無効となるにとどまり、本条の違反とはならない。』(昭23.12.25 基収第4281号 平9.9.25 基発第648号)
とは言え、労働基準法等には多くの改正があります。最新の内容にメンテナンスした上で、従業員の皆様に周知する必要があります。
これを機会に見直しされることをお奨めします。